お歳暮・秋ギフト

「のし紙」には、贈り物に込めた気持ちがわかるようにする役割があります。「のし」という言葉の起源は、あわびを伸ばして干した昔の縁起物「のしあわび」です。”「のしあわび」を食べれば長生きができる”と信じられていたことにも由来しています。かつてはお祝い事に欠かせない贈り物でしたが、やがて“長いお付き合いを“という願いを込めて、その文様を贈り物の表側に添えるようになりました。それが現在は「のし紙」の右上に、小さな飾りとして印刷されるようになったのです。この飾りを「熨斗」といい、主にできるだけ引き伸ばしたいお祝い事……お歳暮・お中元だけでなく、結婚祝いや新築祝いなどにも用いられています。このように、「のし紙」は相手への気持ちを表現するのに欠かせないものなのです。

「のし紙」には“表書き”といって、贈る目的を書く必要があります。お歳暮の場合は「御歳暮」の三文字を表書きとして書くのが基本です。そして、その下に名前を入れます。この時、贈る相手(親戚や上司など)の名前を書いてしまう人がいるのですが、これは大きな間違いです。必ず、送り主であるあなたの名前を書くようにしましょう。連名の場合、名前を入れるのは3人まで。4人以上の場合は代表者の名前を書き、名書きは表書きよりも少し小さな文字で入れるのがポイントです。お歳暮の場合、紅白の紐を模した“水切り”は蝶結びのものを選ぶようにしましょう。印刷ののし紙を使わず“水切り”が実物の場合は、文字にかからないよう配慮する必要があるので気を付けましょう。

「のし紙」には、贈る相手やギフトの中身によって注意するポイントがあります。まず、「熨斗」があわびを模した物であることから、贈り物がお肉や海産物などの生鮮品の場合付ける必要はありません。こうした場合は、熨斗の文様の無いのし紙を選ぶのが良いでしょう。また、贈る相手が喪中の場合は「熨斗」だけでなく紅白の水切りも避ける必要があります。「そもそも、喪中の相手にお歳暮を贈ってもいいの?」と悩むこともあるかもしれませんが、季節のご挨拶としてギフトを贈ること自体は問題ありません。喪中の相手にお歳暮を贈る時は、白地の短冊に「御歳暮」とだけ書かれたものを表に貼るなどの配慮をしましょう。お歳暮を購入する時は、相手が喪中であることを伝えれば対応してくれる所が多いので、ひと言伝えてみてくださいね。

お歳暮は毎年贈るものだからこそ、「のし紙」への気遣いが光ります。相手が喪中である場合の配慮はもちろんですが、「熨斗」の文様を入れるべき贈り物とそうでないものの区別が出来る人はなかなかいません。このポイントを押さえて贈り物をすれば、相手にも一目置かれる存在になれると思います。皆さんもぜひ気を付けてみてくださいね。