レトロモダンでかわいい! 「こぎん刺し」でくるみボタンを作ってみた

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素朴で和の趣が味わい深い「こぎん刺し」が現代の女子たちをも虜にしており、今密かに流行っているのだとか。

でも、「こぎん刺し」ってなんだろう? 材料を揃えて作るのは大変そうだけど…。今回は先生に「こぎん刺し」の基本を教えていただき、かわいいくるみボタン作りにチャレンジしてみます!

寒冷の地・東北の暮らしの中から生まれた「こぎん刺し」

そもそも「こぎん刺し」とは、青森・津軽地方に伝わる刺し子の一種。木綿が高価だった1700年代の津軽地方では、野良着に麻布を使用していました。目の粗い麻布に木綿の糸を刺繍し、粗い目を埋めることで保温や布の補強をしていたとのこと。この野良着のことを「こぎん」と呼んでいたため、「こぎん刺し」という名がついたそうです。

津軽地方の農民の暮らしの中から生まれたこぎん刺しは、母から娘へと受け継がれ、たくさんの美しい模様が残されていきました。伝統的な図案は「モドコ」と呼ばれ、ハナコ(花)、マメッコ(豆)など、300種類もあるそうです。

こぎん刺しを現代風にアレンジした、植木友子先生の作品

今回こぎん刺しを教えていただいたのは、『こぎん刺し 模様遊び』の著者・植木友子先生。東北は秋田のご出身で、もともとお子さんの子ども服をハンドメイドし、販売されていたそうです。

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植木先生は、「もっとオリジナリティのあるものを作りたい!」と、クロスステッチなどにも挑戦するなどして模索していたなか、こぎん刺しを知って独学で刺し始めたとのこと。

「もともと和物が好きで、日本の、しかも故郷に近い青森発祥ということで、こぎん刺しに興味を持ちました」(植木友子先生、以下同)

古典図案をどう並べるかでも無限にデザインが広がるこぎん刺しに魅了され、次々と刺しているうちに、自分で図案を引きたくなってきたのだとか。

「伝統的なこぎん刺しは奇数目なのですが、好みのデザインを追求していくうちに奇数目ではない図案もできてきて。私のはこぎん刺しと言うより“こぎん刺繍”に近いかもしれません(笑)」

そうおっしゃる先生ですが、作法がガチガチに決まっていないほうが初心者には入りやすいですよね!

先生オリジナルの図案は『こぎん刺し 模様遊び』にもたくさん掲載されています。

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『こぎん刺し 模様あそび』
植木友子・著 日本ヴォーグ社刊 価格/1,296円(税込)
在庫をチェックする⇒

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古典図案をいかしたオリジナルの図案が素朴で可愛らしい先生の作品。りんごや鉄瓶など、東北の手仕事や特産品がモチーフとなっていて、かわいいです!

初めてのこぎん刺しに挑戦!

刺繍の経験はなく、裁縫もたまに取れたボタンを付ける程度しかしない私。本当にこんなに細かい模様がキレイに刺せるのか、とても不安です…。とりあえず、先生が教室で使用している初心者向けの材料と図案を使って、基本のきから教えてもらうことに。

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作る前に、どんな材料を使用するのか見ていきましょう。こぎん刺しは、基本的には専用の布と糸、専用の針があればできちゃうそうです。

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こぎん刺しの生地は、基本的には刺繍用の目が数えられる生地を使用します。こぎん刺し専用の生地もあり、太目のタテ糸とヨコ糸でしっかりと織られているので、織り目が崩れることはありません。

こぎん糸は通常の刺繍糸よりも艶感がなく、マットな質感になっているのが特徴。普通の刺繍糸を代用することも可能で、その場合は25番の糸を使用すると良いでしょう。

布は麻布のように織り目がはっきりしていて数えることができるものであれば使用できます。

 

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こぎん刺しの針は長くて太く、先が丸まっているのが特徴です。

「小さいお子さんが触っても痛くないんですよ」と先生。定規で測ってみたら、6.5センチちかくもありました。長い!

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「大丈夫です! ボタン付けができるなら、こぎん刺しもすぐにできますよ♪」と心強いお言葉をかけてくださる、優しい植木先生…

【1】布の中心を決める

それではさっそく初めてみましょう!

最初に、布の中心を決めるところからスタートです。今回使用したのは織り目のタテを長めにとってある生地。つまり、織り目の空間部分がタテ長になっている生地です。

「布を引っ張ってみて伸びにくいほうがタテの目、伸びやすいほうが横の目となります。同じ模様を刺しても、布の向きが違うとでき上がりがまったく異なるんですよ」

今回使用した布は、タテの長さが9cmなので、4.5㎝あたりのタテ糸に印を付けます。ヨコの長さも9㎝ですが、4.5㎝あたりのヨコ糸とヨコ糸の間に印を付け、タテとヨコの印の交差した点が布の中心となります。

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チャコペンがなくてシャーペンで印を付けました! 印を付けた面を裏にします

糸はあまり長いと最初はやりづらいので、30~40㎝位の長さを取ります。

針に糸を通し、最初の一刺し。先ほど裏面に付けた印(中心)の脇から針を出します。

ここで先生お手製、説明用の模型が登場! 布の織りのタテ糸(青)とヨコ糸(水色)がわかりやすい!!

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先生の模型を参考に、おそるおそる最初の一目を刺す…緊張します!

【2】目の数え方をマスターする

タテ糸1本をまたぐことを「一目」と言います。

「一目」というと穴(縦糸と縦糸の間の空間)をひとつまたぎたくなりますが、それは縦糸2本をまたぐことになるので、「二目」になってしまいます。

「一目」とは縦糸一本をまたぎ、隣の穴に針を刺すことです。

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図案の矢印の部分が一目。縦糸を一本またぎます

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図案の通り、“一目刺して一目空けて三目を刺す”とこのようになります

「この、目の数の数え方が初心者の最初の壁なんですよ。ここで戸惑ってしまう方が多い。

一目空けるのを二目空けちゃう間違いが多いですね。でもこれに慣れると後は楽に刺し進めますから、がんばりましょう!」

図案が三目だった場合、縦糸3本をまたいで刺します。

「タテ糸3本を数えて刺してもいいし、3番目の穴に針を刺す、というように進めてもOK。やりやすい方法で数えてください」

ちなみに、刺し始めの糸は後で処理するので10㎝位残したままで進めます。

「この残した糸を、刺しているほうの糸で巻き込んでからめないように注意してくださいね」

図案に従って一目刺して、三目空けて、三目刺して…と進めていきます。

糸がからまないように注意しつつ、先生に「これ三目で合ってますか?」と、何度も確認してしまいました…。

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「最初のうちは定規で刺している段を示しながらやると、今刺している場所がわかりやすいですよ」

【3】ひたすら刺す!

中心から左端まで刺したら、上の段へ向かって刺していきます。

私は右利きなので、布の上下を逆にして右から左へ刺し進めるほうが作業的にはやりやすいのですが、自分がどこの目を刺しているかわからなくなりそうだったので、そのままの状態で左から右へ刺し進めました。

二段目は一目内側から開始です。

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わかりづらいですが、二段目を刺し始めたところです。図案に従い、この段は右端まで刺します

まっすぐに糸を通していくので、目の数さえ注意していれば意外と簡単です!

模様も現れ始めたし、「あれ…なにこれ、全然イケる!」…と調子に乗って刺していたら、裏面に問題発生!

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刺している途中で引っ張り切らないままゆるんだ糸に他の目の糸が通り、輪っかになってしまっていました…。

「戻って刺し直せますよ~」と先生。

そう、こぎん刺しは一方向に刺しているので、戻って刺し直すとキレイに修復できるのです!

【4】糸の処理をする

糸が短くなってきたので新しい糸に替えます。糸の処理の仕方ですが、こぎん刺しは玉止めをしません。

布を裏返し、刺し終わりの一段下の段の「縦糸が見えているところ=表では刺した糸が渡っているところ」を三目ほどすくいます。

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最後に刺した段の一段下の縦糸3本に針が通っているのがおわかりでしょうか? ここに糸を通します。

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糸を通した後、目のギリギリのところで切ります。

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このとおり、表には響いていません。

新しい糸の刺し始めも、「裏のタテ糸が見えているところ=表では刺した糸が渡っているところ」に二、三目刺し、新しい段を刺して行きます。

私が一目一目数えながらぎこちなく刺している間に、先生が「私もちょっと刺しましょう」とサクッと刺していらっしゃいました。↓こちらが、先生が刺したものです。

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今回はこの模様をひとつ刺すだけですが、布全面に繰り返し模様を刺すときは、このように端にゆるみを持たせると、糸がギュッと引きつれることがないそうです。

糸の処理もこのゆるみに通してから縦糸をすくうと、より外れにくくなります。

それにしても先生、早すぎです…。ここまで刺すのに5分もかかってないじゃないですか!

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さて、どうにかここまで刺すことができました!! 嬉しい!

刺し始めの残り半分を端まで刺し、上半分完成! もう愛着湧きまくりです!

あっという間に90分が過ぎ、先生に教わるのはここまで。あとは自力で半分を刺します。

…と言っても、上半分と同じことをするだけなので結構サクサクできてしまいました。

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すごい! 形になっています!

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先生にいただいたフレームに入れると、なんか素晴らしい作品に見えてきました(フレームは100均で売っているそうです)。

この調子なら、くるみボタンだってサクサク作れちゃうのでは…? 

ついにくるみボタンづくりにチャレンジ!

植木先生に手ほどきを受け、もうこぎん刺しの基本はマスターしました(したはず!)。

いざ、今回の目標・くるみボタンづくりに挑戦です!

「くるみボタンはプラスチック製のものが扱いやすく、やり直しが何回もできるのでおススメです」と先生がおっしゃっていました。アルミのタイプだと、一度打ち付けてしまったらやり直しがきかないそうです。

面倒くさがりで大ざっぱな私、必要最小限の作業で作ってみました。

布をくるみボタンの大きさに合わせて裁断しましたが、かがり縫いはしておりません!

どうせ端はボタンの中に入れるし、かがり縫いすると厚みが出ちゃうし…

大胆にも切りっぱなしの布で開始!

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先生の教え通り、中心を決めるところから始めます。

縦横7㎝の円なので、3.5㎝のところのタテ糸と、ヨコ糸と横糸の間にこれまた大胆にも油性ペンで印を付けます!(裏面にするし…)

くるみボタンにはめてみたので円の跡がついています。この円の部分がくるみボタンの表面になるということです。

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中心の印を裏にして、先生の本に載っていたハートの図案を刺していきます。

中心になるハートを先に刺しました。

この後、図案を見ながら刺していきますが、中心を先に刺しておくと、今どこを刺しているのかがわかりやすかったです。

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ハート模様の繰り返しです。一段一段刺して行きました。

この後はひとつ上の段を右端まで刺します。これも目の数さえ間違わなければ簡単! サクサク進みます。

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上半分刺しました!

ちょっと…だんだん、かがり縫いの必要性を感じてきました…。

刺した模様が増えてくると同じことの繰り返しなので、図案を見なくても結構進めます。

が! 調子に乗って進んでいると三目のところを二目しか刺していなかったりして、戻る羽目になるのでご注意ください!

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全面刺し終わりました!

端のほうがズタズタになっている感がありますが、くるみボタンの中に入れてしまうので大丈夫…なはず!!

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裏はこんな感じ。ちゃんと表に響かない裏の縦糸で糸の端を処理しています。

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布の周りを波縫いして、内側のボタンをくるんでギュッと絞ります。

ここは玉止めをしました。

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くるみボタンの外側をパッチンとはめて完成!

布がだぶついている部分は錐で中に押し込みました。

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でき上がりのかわいさに我ながらびっくりしてしまいました…。

こうやってきちんと形にすると、ちゃんとできているなあと実感します!

調子に乗って先生の本のメガネの図案も作成。

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並べるとますますかわいい!

我が家にちょうどいいスペースがあったので、先生に教えてもらいながら作ったフレームもあわせて展示してみました。ジャーン!

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何だか様になってますよね!?

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初めて作ったものがこんなに様になるとは…。こぎん刺し、素敵です!

面倒くさがりで大ざっぱな私が作っても、ここまでできちゃいます!

何の知識もなく図案だけ見ると「うぅっ」と怯んでしまうこぎん刺しですが、“中心の決め方”、“目の数え方”、“糸の処理の仕方”さえ理解すれば、比較的簡単に楽しく作ることができます。

まずは簡単な図案から刺して古典図案を極めるも良し、オリジナルの図案を引いて好きな模様を作るも良し!

皆さんもぜひ、気軽に始めてみましょう!

(プロフィール)

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植木友子【うえき・ともこ】

ハリノヲトの名で活動中のこぎん刺し作家。

子ども服を制作していた2008年にこぎん刺しを知り、独学で刺し始める。

伝統的なモドコやオリジナル図案を使った作品が人気。

ヴォーグ学園横浜校・名古屋校・心斎橋校などでこぎん刺しのクラスの講師を務めている。

ハリノヲト帖」 
ヴォーグ学園

構成/遠藤麻衣(verb) 取材・文/満月裕子 撮影/島村緑

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